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スポーツの祭典・北京オリンピック特集

注目選手

吉田沙保里
【日本・レスリグ女子55キロ級】

吉田神話の第2章が、今ここに再び!!

昇り龍の勢いを借りて、表彰台の一番高いところへ昇りつめる。金メダルが期待される浜口、伊調馨、吉田、伊調千(左から)(撮影・江坂勇始)

1月に中国の太原で行われた、女子レスリングの国別対抗戦W杯で世界に衝撃が走った。01年12月の全日本選手権準決勝で敗れて以来、6年以上も無敗を続けてきたアテネ五輪55キロ級金メダリスト吉田沙保里が、マルシー・バンデュセン(アメリカ)に2-0の判定で敗れ、連勝記録が119で途切れたのだ。吉田が国際大会で敗れるのは初めてだった。 敗因は「くるとわかっていても返せない」といわれた両足タックルを返されたこと。世界は進化し、日本勢対策も進んだということだろうが、北京前に、死角の存在がわかったのは収穫だった。

吉田は敗戦のショックから立ち直り、タックルの改良に着手した。一度体を沈めてから相手の脚に入るのがタックルの基本。ところが吉田は腰高のまま頭を下げて飛び込んでいた。スピードが並外れているため、それで相手は倒されていたのだが、速さに対応されると、柔道の巴投げのように返されてしまう。そこで吉田はタックルに入った後、相手を持ち上げるような動作を習得した。わずかにあった死角をふさぎ、吉田神話の第2章が始まろうとしている。アテネ大会後に誓った「北京まで無敗で五輪連覇」の夢は破れたが、「五輪連覇」は夢に終わらせないだろう。


競技名 【レスリング】

男子は上半身しか攻撃できない「グレコローマンスタイル」、全身へ攻撃できる「フリースタイル」があり、フリースタイルのみの女子と合わせて18階級でメダルを争う。日本は52年ヘルシンキ大会以降、参加した大会すべてでメダルを獲得しているが、前回アテネでは新採用された女子が全4階級でメダルを奪取し、‘お家芸’の歴史に新たなページを加えた。今大会の女子代表は48キロ級の伊調千春、55キロ級の吉田沙保里、63キロ級の伊調馨、72キロ級の浜口京子と、アテネと同じ顔ぶれ。この4年で日本勢への他国の対策が進み、無敵を誇っていた吉田の連勝が1月止められた。しかし吉田にとってはいい薬になったようで、すぐに敗戦のショックから立ち直り、得意のタックルの改良に着手した。ほかの選手にとっても油断を戒める機会になったはず。

日本勢の実力が頭ひとつ抜けているのは確か。全員が連続メダル、さらに金メダル独占も夢ではない。男子は、07年世界選手権グレコ60キロ級2位の笹本睦、同グレコ96キロ級5位の加藤賢三、3月のアジア選手権で優勝したフリー55キロ級の松永共広らに期待が集まる。複数のメダルを獲得し、長年伝統を守ってきた男子の底力を、世界にアピールしてほしい。