Vol.011 昭和体現男・船越英一郎の「味わってちょんまげ!」

シーズン3に入った船越英一郎主演の「その男、副署長」(テレビ朝日系)。このドラマには、好きな人にはたまらない要素がいろいろと揃っている。その要素とは、「昭和テイスト」だ。
主人公は、京都河原町署の副署長・池永清美(船越)。元敏腕刑事だったが、家庭の事情で現場を離れて、現在の役職に就いたのだった。副署長の仕事は、もっぱら書類相手で、決裁のために押すハンコはなんと、一日1200件!刑事の現場感覚が抜けない清美は、難事件が発生すると、自分も謎を解きたくてうずうずする。しかし、やり手の女性署長(萬田久子)は、大きな目を光らせて「捜査は、あなたの仕事ではありません!」と一喝。一旦は席に着く清美だが、それでも、押さえきれなくなると、彼の額にはむくむくと熱血パワーがみなぎり、決めの一言が飛び出す。
「俺の我慢もここまでだ!!」
清美は、制服を脱ぎ捨てて、事件解決のため、全力疾走するのであった。
正義の心を秘めた男が、「副署長」という“世を忍ぶ仮の姿”でいる⇒悪に対する怒りをみなぎらせて“決めセリフ”を言う⇒制服を脱いで“変身”する⇒「自分の使命のためなら、人を殺してもいいのか!そんなことをして、この人が喜ぶと思うのか!」などと犯人に熱く説教⇒自首を薦め、一件落着…というこの流れ、ほとんど昭和の刑事ドラマ、または時代劇である。
おまけに、清美の行き着けのバーの名前は「追憶」。ここのBGMは、平山みきの「真夏の出来事」やら、河島英五の「生きてりゃいいさ」など、昭和の名曲オンリーなのだ。ここで、船越英一郎と本田博太郎がぐたぐだ言いながら、グラスを傾けるって。とても平成のシーンとは思えない。
清美は、事件解決後に美人署長の肩をもみましょうなどと言い出して「セクハラ!」とにらまれる。なのに清美はにこにこと言うのだ。「俺のゴールドフィンガーを味わってちょんまげ!」。出たぞ、とどめの昭和ギャグ!
この昭和テイストは、船越自身の希望だったという。そういえば、TBS系の2時間ドラマ「狩矢警部シリーズ」でも、主演の船越警部は、事件発生の電話を受けて「なにっ!?」と驚くという「太陽にほえろ!」「西部警察」等、昭和刑事ドラマ伝統のシーンを見せていた。どこまでやる気だ、船越刑事!?
次の昭和ギャグにも注目しなくちゃ。頑張ってちょんまげ。
ペリー荻野 プロフィール

- TV業界に精通するコラム二ストであり、女流時代劇研究家でもある。週刊ポスト、読売新聞、中日新聞、月刊サーカス、CMフォト、ESSE、スカパー!などに連載中。また、著作としては、「紋次郎も鬼平も犬神家もこうしてできた」「ちょんまげだけが人生さ」など多数出版。


