- Vol.95
- 行列のできるブーツ男は無国籍でどこへ行くのだろう・・・
灰皿がポツンと置かれた階段の踊り場。「そーいえば、30年程前は、電車の中で煙草吸えたんですもんね・・・いや、もっとスゴイのは映画館で上映中スパスパが許されてたんですよ。ああ・・・俺、どこでも煙草吸っていい特権が与えられるなら、選挙権なくてもいいですよ・・・」「だよなあ、俺だったら国籍もいらないかなあ? 別にあっても、どうなるもんでもないし・・・」「ちょ、ちょっと国籍はダメでしょう!! それに詳しいことは分からないけどどうなるもんでもなくないとスゴク思うし!!」こんな会話を俺と交わすのは、フォークシンガーのなぎら健壱さんなのだ。勿論、煙草のためなら国籍さえ捨てようという発言者の方がなぎらさんである。
正直俺は、なぎらさんのファンなのだ。いつもこだわりのカーボーイブーツをはいているなぎらさん、そして、いつも決まってそのブーツがなかなか脱げなかったりはけなっかたり・・・よってなぎらさんがブーツを着脱する時は必ず人が並ぶのである。これを我々は、『行列のできるなぎらのブーツ』と呼んでいるのだ。(と、いっても実は俺だけなんだけどね)

以前、何故かなぎらさんと、夜中の3時頃に新橋駅付近をフラフラしていたことがある。おそらく、ロケか何かの終了後だったのだろうか。どちらからともなく「一杯いこうか?」となったのはいいが、見渡したところオレンジに輝く牛丼の吉野屋くらいしか開いてる店はなかったのだ。俺が「牛皿にビールにします?」と言うと「いや、超一流芸能人の我々2人が深夜の吉野屋じゃまずいだろう。いつ写真週刊誌のキャメラマンが狙っているとも限らないし(あるわけねーだろ!!)」と開いている飲み屋を探して、なぎらさんは歩き始める。
しばらく歩くと右側に、小汚い居酒屋の看板、店は地下1階なのだが、もうその看板を見ただけではやらない店内が想像出来るという具合、これなら吉野屋の方が100倍いいじゃないのと心の中で思いつつ「なぎらさんの知ってる店ですか?」「いや、全然!! 初めてだよ。でも、どこもやってないし、こういう汚い店で飲むのもいいんじゃない」と階段を降り、のれんを分け入った途端に、店のバアさんが「アラ、なぎらさんこの間はどうも、いつもスミマセンね」だってさ・・・。なぎらさん好きだなあ・・・という話でした。
ダンカン

- 1959(昭和34)年、埼玉県生まれ。落語家を志し、立川流に入門するも、その後TVの世界へ。ビートたけしの下で、たけし軍団の一員として活躍する。タレントとしての活躍に加えて、’98年には映画「生きない」で脚本・主演。’05年「七人の弔」では監督にも挑戦し、高い評価を得る。ほか、執筆や構成作家としても活躍中。大の阪神タイガースファンとしても知られている。
公式HP http://www008.upp.so-net.ne.jp/dankan/


