- Vol.114
- 男は黙ってサッポロビール(その昔の名コピー)にしときゃよかった・・・お話し
「こちらにおわす御方をどなたと心得る! 畏れ多くも前(さき)の副将軍・水戸光圀公にあらせられるぞ!!」(一同ハ、ハ~ッと土下座で平伏す)と、いうのが正しい水戸黄門のストーリーですよね?
もしこれがですね、最初から黄門様が「あの~、私、水戸光圀なんですけど・・・」なんて言ったら、物語どうなります? そう、誰も見ないでしょう!! いや、その前に悪人が罪を犯さないでしょうからドラマじゃなくなっちゃいますよ。
ところが、案外そういった展開なら、そういう展開なりのドラマが生まれるのだ・・・と先日身を持って体験させていただきました。
四谷3丁目に、超野球バカが夜な夜な集う『あぶさん』という店がありまして、ここの看板やお皿などは、あの野球マンガ界の巨匠・水島新司先生の画で、まさしくあぶさんなのです。
プロ野球の選手も12球団来店するけど、あくまで気軽に飲める(料金も)心地よい酒場なのです。

勿論、野球ファンでない方も集ってます。その日も、俺が店に行くと、一番奥の席に4人のサラリーマンのオッさん連中が盛り上がっていたのです。しかも、店内で普段は見ない様なサッポロの大ジョッキでビールをグビグビとやっていたのだ。「ダンカンさん今晩は!!」という陽気な声に「どうも今晩は!! どこの会社ですか?」という俺の質問に「あ、こちらうちの会社、サッポロビールの社長です」と年下と思える社員が、一番年上の人物を紹介したのだ。「アハハハ・・・また、ウソついてサッポロの社長が、こんな汚い店(石井店長ごめんなさい)いる訳ないでしょう。あ、分かった、そのジョッキのサッポロの字見て言ったでしょう? そういうこと言ってると不景気でリストラされるなあ」と軽口をたたいている俺の目の前に1枚の名刺がスッと差し出される。一瞬俺の脳裏に嫌な予感がよぎった。だって、この前も松尾貴史くんの名刺で気まずい思いしてるし・・・。そして、その予感は見事に的中!! アタ~ッ、『サッポロビール株式会社代表取締役社長、福永勝』だって・・・。あ~あ、これでサッポロのCMは消えた・・・(最初から、ないだろうけどさ)話を聞くと月に1度程こうして、自社のビールを扱っている店を巡っているのだとか・・・その後、えーい、もうどうでもなれと開き直った俺のぞんざい三昧は続く。その横で店長の石井さんは、「社長に失礼があっては大変」と店そっちのけで、フォロー奉行に徹していたのだ・・・。
ダンカン

- 1959(昭和34)年、埼玉県生まれ。落語家を志し、立川流に入門するも、その後TVの世界へ。ビートたけしの下で、たけし軍団の一員として活躍する。タレントとしての活躍に加えて、’98年には映画「生きない」で脚本・主演。’05年「七人の弔」では監督にも挑戦し、高い評価を得る。ほか、執筆や構成作家としても活躍中。大の阪神タイガースファンとしても知られている。
公式HP http://www008.upp.so-net.ne.jp/dankan/


