- Vol.113
- ユニフォームを脱いでまで、こんなにも巨人に苦しめられるとはウウウ・・・
「敵は本能寺にあり~!!」ちょっと待ってくれよ~、虎太郎(小学4年の次男)とーちゃんの立場も考えてくれって・・・。
いや、先日、プロ野球の阪神タイガースのキャンプ地・高知県安芸市を息子の虎太郎と訪ねたのです。
俺は、長年サンケイスポーツで阪神番の記者をやらせて頂いている関係で、球場入りするやいなや、プレスルールで取材許可の手続きをしなくちゃいけないのだが、そこに球団関係者の許しを得て虎太郎も同行させてもらったのだ。
プレスルームには、各社記者は勿論、プロ野球OBの評論家の方々がズラ~ッと顔を並べているのです。
そこの扉を開けた途端、虎太郎が「アアア!!」と驚天して息をのむのが分かったのだ。
「ど、ど、どうした虎!? 高知の土佐犬にでも出くわした様な顔して?」「と、と、とーちゃん、も、も、元木だよ、スゲ~よ!!」と言うその視線の先にいたのは、巨人の選手時代『曲者(くせもの)』と呼ばれ、我が阪神が何度苦汁を飲まされたか分からない元木大介に他ならなかったのだ。

「そうか虎、さすが胎児の頃からの生粋の阪神ファン、憎きジャイアンツの元木を許せんのだな・・・ウム、分かる、とーちゃんもその気持ち重々分かる・・・しかし、ここはあくまで神聖なプレスルーム、決して突然阪神の選手からサインをもらう用に握りしめている、そのペンで目を刺したりしたらいかんぞ」と落ち着かせようとする俺に、虎が一言ポツリ「・・・サインもらいたい・・・」「ゲゲーッ、虎!! 何を血迷った!? あいつは、我が阪神の宿敵巨人の元木だぞ!!」「ウン・・・でも、テレビとかで面白いもん・・・」確かにバラエティー番組にしょっ中出ていて小学生にも人気あるかも知れないけど・・・何でよりによって巨人の・・・。
「分かった、じゃこーしよう、とーちゃんが阪神の虎の大好きな新井とかのサインお願いしてやるから、元木はあきらめろ!!」と必死の説得を繰り返しても、視線は元木に釘付け・・・。そこで仕方なく「じゃ、ウウウ(涙声)じゃサイン頼んでやるよ、でも巨人の元木じゃなくてあくまでバラエティーに出てる元木としてもらうんだからな!!」「ウン!!」と満面の笑みを浮かべる息子に、断腸の思いでサインを頼んだ俺であったのだ・・・。
勿論、元木は悪い人間じゃないので「おっ虎太郎くんか、阪神ファンらしいイイ名前だな、大きくなったら阪神入れよ!!」「ウンありがとう!!」そのほほえましい会話が余計に俺をイライラさせたのだった・・・。
ダンカン

- 1959(昭和34)年、埼玉県生まれ。落語家を志し、立川流に入門するも、その後TVの世界へ。ビートたけしの下で、たけし軍団の一員として活躍する。タレントとしての活躍に加えて、’98年には映画「生きない」で脚本・主演。’05年「七人の弔」では監督にも挑戦し、高い評価を得る。ほか、執筆や構成作家としても活躍中。大の阪神タイガースファンとしても知られている。
公式HP http://www008.upp.so-net.ne.jp/dankan/


