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TVコラム

ダンカンの真空管TV

2009年3月2日更新

Vol.111
怪物に怪物といわせたお笑い界の稲穂列伝

 以前ビートたけしさんのことを『怪物』と述べたが、そのたけしさんでさえ「あいつはホントにスゴイよ!!」と唸らせる、ある意味『夏の怪物』ビートきよし師匠について一度は触れておかねばならないだろう・・・。

 何がスゴイってこの師匠常に『無の境地』になれる方なのだ。仏教や精神的世界にいたならば崇め奉られるのではあるまいか? というくらいの『無』で生きてらっしゃるのだ。

 例えば、たけしさんに番組に呼ばれて出演するとします。その際普通であれば、事前にいや最低でも楽屋入りしたら「えーと、今日は何のテーマ? 何やればいいのかな? 台本は?」というものなのだが、きよし師匠の場合そういうあらかじめ下準備をして成功してやろうなどという『欲』や『煩悩』などは一切なし!! そこが我々凡人との大きな違いで、我々なら、色々と考えておかないとアタフタしてしまうという恐怖が常につきまとうのだが、師匠の場合逆にたけしさんが気を使って「相棒打ち合わせしようか?」と言っても「平気! 平気!! 何んでもボケて、俺がビシビシつっ込むからさ」と即答するのだ。

 そして、いざ幕が開けてみると(収録が始まる)打ち合わせの「う」の字さえ忘れたならいざしらず、たけしさんがボケているにもかかわらず「ウン、ウンそうゆうこともあるんだね」とボケに納得するという神業さえ披露して下さるのである。

ダンカンの真空管TV

 そこ迄いくと、周囲の者(たけしさんを含め)は、きよし師匠を責めるなどという気持ちは一切なくなり、むしろ、これは本当に「スゲエよなあ、俺だったらあんな状況なら3秒も立ってられないのに、胸はって堂々としてられんだもんなあ・・・」ともうひたすら感動してしまうのである。

 さらに世の中には、出世すればする程、頭を下げるエライ人物のことを『実るほど頭(こうべ)をたれる稲穂かな』というじゃないですか、この言葉を越えたのがきよし師匠で、まがりなりにもツービートで天下を獲ったひとりなのに、何処か我々と同等にたけしさんの事を「トノ、おはようございます」と何んのためらいもなく言うかと思えば、俺にも「先生、今度漫談のネタ書いてもらっていいかな?」いう具合、確かに放送作家などは先生といわれる場合はあるけど・・・師匠は何十年俺より先輩な訳?

 良く考えたら『怪物』+『怪物』そりゃ天下もとるわな・・・って事なんでしょうね・・・。

ダンカン

ダンカン
1959(昭和34)年、埼玉県生まれ。落語家を志し、立川流に入門するも、その後TVの世界へ。ビートたけしの下で、たけし軍団の一員として活躍する。タレントとしての活躍に加えて、’98年には映画「生きない」で脚本・主演。’05年「七人の弔」では監督にも挑戦し、高い評価を得る。ほか、執筆や構成作家としても活躍中。大の阪神タイガースファンとしても知られている。
公式HP http://www008.upp.so-net.ne.jp/dankan/